色の見え方感じ方はイロイロ
色の見え方には個人差があります。同じものを見ていても同じようには見えていません。
遺伝的な要因や加齢による影響で、多くの人とは違った色の見え方をする人もいて日常生活で「不便さ」を感じることがありますます。カラーユニバーサルデザイン(Color Universal Design:CUD)は、そうした「不便さ」をなくすための配色やデザインを工夫することです。
色の見え方について
物を見たとき、真っ先に入ってくるのは色の情報です。
ですから情報を伝える場合どうしても上のように「色の名前」を指す言い方になってしまいがちです。
でも「色の名前」だけで全ての人に色の情報が正確に伝わると考えるのは間違いです。
色覚型によっては上の画像のように見えることがあり、見分けがつきにくくなってしまいます。
色の見え方「色覚(しきかく、Color Vision)」には個人差があって、その違いを「色覚型(しきかくがた)」と呼んで分類しています。
色覚型を表すのに色弱・色盲・色覚異常・色覚障害などの言葉が使われてきましたが、分かりにくく誤解を受けやすかったり差別を感じる人も多かったため、現在では次のような呼び方が提唱されています。
色覚の種類
新しい呼び方 | 従来の呼び方 | |
---|---|---|
C型 | 一般色覚者 | 色覚正常 |
P型(強度・弱度) | 色弱者 | 赤緑色盲 |
D型(強度・弱度) | ||
T型 | 黄青色盲 | |
A型 | 全色盲 |
※ 割合が最も多いC型は「一般色覚者」、C型色覚以外を色の配慮の不十分な社会における弱者として「色・弱者(しきじゃくしゃ)」と呼ばれています。
(特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構より)
色覚型の特徴
人の目は「錐体(すいたい)」という細胞で色の情報を感じています。
「錐体」には、赤色・緑色・青色を感じる3種類があって、それぞれ「L 錐体」・「M 錐体」・「S 錐体」と呼ばれています。
これら3つの錐体の機能により色を識別していますが、錐体の機能の程度には主に遺伝的な要因による個人差があって、その違いが色覚型となっています。
それぞれの色覚型には次のような特徴があります。
日本では、P型、D型両方で300万人以上、男性の20人に1人いるといわれています。
色の情報だけに頼るのは危険
カラーユニバーサルデザインに配慮していないと、色覚型によっては情報が正確に伝わらないデザインになってしまいます。
このように色で区別する路線図の場合
D型色覚の人が判別するのは大変だと思います。
日曜、祝日が赤で表示されているカレンダーは、P型色覚の人にはこのように他の曜日との区別が困難です。
カラーユニバーサルデザインでは、上のようにこのように日曜、祝日の背景に色を付けて文字を白抜きにすることで、色に頼らずに情報が伝わるようにしています。
このようなカラーユニバーサルデザインにすることで一般色覚の人にもより分かりやすいものになります。
黒板に書かれた文字は、チョークの色によっては区別がつきにくくなります。
信号機も色によっては点灯しているのが分かりにくくなります。
カナダのケベック州にはこのような信号があります。
両側が点灯してればストップということが色に頼らず分かります。
一般色覚の人でも信号を見落とした、ということは防げそうです。
ちなみに、欧米では男性の8%~10%が色弱といわれています。
カラーユニバーサルデザインの具体的な取り組みは次回で紹介します。
※今回使用した写真は東洋インキ株式会社様のご厚意により使わせていただきました。